ダラ奥こしあんの家族大好き!

未就学児×2と姑とのギリギリな日々を綴ります。松江塾ファン。

大移動

週に1回、夫を除く家族で習字を習いに行っている。

義母は師範の腕前。私はかなり前に何段だったか取ったのだが忘れた。

習字の先生は総合芸術も手がけるアーティストなので、独特の審美眼を持つ息子と相性が良さそうだし、野生児な娘もあの教室の空間が持つ静謐さに圧倒されて大人しくなるだろう…と踏んで、今月から子供たちも習字を習い始めたのだが、思った以上の大変さがあったので、自戒の為にここに記しておこうと思う。

駅に向かう

自宅から最寄駅までは大人の足で5〜8分ほどだが、車椅子が移動しやすい道幅や勾配など考慮して迂回するので15分弱かかる。そこに子供たちが付いて来るので、余計に時間がかかった。

車椅子を押すので子供たちと手を繋げず、やむを得ず子供たちには私の後ろに付いて来てもらったが、歩く速さが合わず、何度も「はよ!」と子供を急かす事になってしまった。また、道を横断する時は左右だけじゃなく前後にも意識を向けねばならなかったので、駅に到着する頃には軽く息が上がっていた。

エレベーター

意外と譲っていただける。キャリーケースやベビーカーの方、ご老人や体の不自由な方も乗り合わせる事が多いのだが、皆さんが親切だった。

実家近くのスーパーでは、足の不自由な実母とエレベーターに乗る前にドアを閉められた事があったが(きちんと「そのうちに○してやるからな!」という目で睨んでおいた)、こちらではそんな目に遭ったことがない。あれは東京砂漠特有の事象だったのかもしれない。

あと、孫連れの車椅子の婦人(義母)が珍しいのか、ご高齢の方が話しかけてくる事が多かった。身の上話やご自身の介護の話をする方もおり、どう反応すれば良かったのか戸惑っていると義母が「急いでいますので!」とぶった斬ってくれた。

急いでいるとは言っても高齢者に追い抜かされるぐらいのノロノロ加減なのだが、こちらは周囲の人の流れを気にしつつ、義母と子供たちの様子を見ながら動かなければならないので必死だ。他人の事情を気にしている場合ではない。

道中の草花・犬猫

駅からお稽古場まで向かう道すがら、子供たちの心が奪われるような出会いが至る所に待ち構えていた。

散歩中のワンちゃん、道を横切る野良猫、ひだまりに群生するイヌノフグリ、庭先の巨大サボテンなど、目に入るたびに子供たちが歓声を上げ、歩みを止める。

その都度、声をかけて移動を促すのだが、すぐに新しい出会いにぶつかってしまう。5分おきに「いくで〜」と言っていた気がする。

こいつは避けようがない。しかし、通い慣れるうちに飽きてくれる事を期待している。

お稽古場にて

息子は緊張しつつ、新しい環境に積極的に馴染もうとしていた。娘はやはり野生児だったので、このままコントロール不能に陥るのではないかと気が気ではなかったのだが、先生がうまいこと娘の手綱を握り、粗相をしそうな場面でもそうならないように誘導してくれた。

私や義母でもどうにもならないあの娘が、先生の言う事なら聞く。先生スゲェや…と感動すると共に娘の嗅覚の鋭さに驚いた。先生は怒らせると怖い。

また、先生以外の生徒さん達が皆ご高齢のご婦人ばかりだったので、子供たちが不穏な動きをしても簡単に嗜めていただける素敵空間だったのだが、私は私で「余計な事を言わないだろうな…」など、気が気ではなく痩せる思いだった。

タメ口

息子は場を気にして敬語を喋る事があるのだが、今回はダメだった。娘と一緒にタメ口で先生と喋り楽しそうに笑っていた。その奥で義母の表情は固まり、みるみるうちに眉が吊り上がり、これから討ち入りか?と言うぐらいの形相になっていった。そして、その顔のまま私を見た。

私は蛇に睨まれたカエルの如く、震え上がるしかなかった。冷や汗をかきながら「息子君、娘ちゃん、先生には『なになにです』って喋らないとダメでしょ」と伝えるも時すでに遅し。

先生からは「いいのよ。小さいうちは」と釘を刺された。

反省すべき点は…

移動に見積もった時間が甘かった事、結構世間話をしたがる他人が多い事、息子と娘の躾が行き届いていない事、己の体力の無さなど挙げればキリがない。

しかし、あの日はあれで精一杯だった。皆、無事に行って帰ってこれた。

次週までに出来る事があるとしたら、全身黒づくめでキメて頭髪を金に染める事ぐらいだろうか。ガンも飛ばせるように化粧もせねばならぬ。

人を近寄らせない工夫ぐらいなら何とかなりそうだ。