ダラ奥こしあんの家族大好き!

未就学児×2と姑とのギリギリな日々を綴ります。松江塾ファン。

思い出のゴダイバと謎のクッキー

ひろみんさんの記事を見て、記事の内容とは全く無関係だが、例の高級菓子について思い出した事がある。

osaisen.hatenablog.com

※ ひろみんさん、くだらない内容で言及してしまってすいません…。

 

今から二昔前の事。まだ私がピッチピチの現役、世間も知らずで無敵感全開、今では思い出したくもない程若い頃の話である。

旅行帰りにロサンゼルスの空港で土産を買おうとして立ち寄った店で店員さんに見下されながらも謎のクッキーの話で相手を翻弄した事がある。

とても下らないので、時間が大切な方はここらでそっ閉じして頂きたい…。

LAXにて

旅行も終盤、なんだかんだで通じない英語を電子辞書と身振り手振りで乗り切り、もう帰るだけという状況で緊張が緩んでいたのもあるが、ビーサンにTシャツと短パンという、かなりラフな格好で例の高級菓子の店に入った事がある。

稚拙な英語で、Dose anyone speak Japanese?と聞いたところ、言い終わるやいなや、被せるように「ハイハイ!!日本語ね!!」とノシノシ歩いて来たのが、頭を金髪に染め上げたアジア系の店員さんだった。

「遊び尽くして金もないので、なにか安くていっぱい入ってるヤツありません?バイト先に配りたいんですけど…」と伝えると、頭のてっぺんから足元までジロリと一瞥し「はぁ?安くてたくさん入ったのなんかないわよ?箱が潰れて安くなってんのならあるけど。それに、日本人は皆"ゴディバ"って言うけど、ここでは"ゴダイバ"じゃないと通用しないわよ?!」と強めの回答が返ってきた。

指を差された方を見ると、カゴの中にラングドシャっぽい商品がバラバラに放り込まれており、箱の角が潰れてるが、確かに値段は安い。中身は同じだろうし、3箱ぐらいあればバイト先の全員に行き渡る事を確認。モーマンタイ。

しかし、ゴダイバって、IKEAをアイケアって呼んでるような感じか…。高級菓子のお店なのに、なんか、嫌な感じ。

お会計の段階で3テンポ遅れで「あれ?なんか見下されてる?」とモヤっとし、頭にきた私はこれを上回るモヤモヤをお裾分けしてやろうってんで、当時、ダブルワークしていた取引先の方が話していた謎のチョコチップクッキーの話をした。

美味しすぎるが故に…

取引先の方(Aさんとする)は、空港で偶然このクッキーに出会ってから、ロサンゼルス出張のお土産は必ずクッキーにする程に惚れ込んでいた。

家族に買って帰ると食べ尽くされて悲しい思いをするので、その時の出張では、土産用のクッキーを10袋トランクに入れ、飛行機の中で1人で満喫する用に1袋、手荷物に入れていたそうな。

飛行機の中で誰にも邪魔されず、独りでクッキーを思う存分味わう事を楽しみにしていたAさんだったが、仮眠から目を覚ますと、隣に座っているレスラーのように屈強そうな外国人がクッキーをむしゃむしゃと食べていた。

余りの事に驚き声も出せないAさんは、手荷物を確認したが、クッキーが入っていない。隣の屈強そうな外国人は、勝手に他人のものを食うような奴だから、話をしても通じないだろう…と、Aさんは思ったそうだ。

相手がそのつもりならこちらも負けてはいられない。Aさんは暫く逡巡し、思い切って無言でクッキーの袋に手を突っ込み、取り出したクッキーを食べ始めた。

隣の屈強そうな外国人もびっくりした顔をしていたが、頑なにクッキーの袋を離さない。2人はクッキーを介してお互いの出方を探り合い、無言で食べ続けた。

そして最後の一枚になった時、その最後の1枚を持っていた屈強な外国人が、Aさんの顔を見つめた後、そっとクッキーを半分に割り、Aさんの方に差し出した。

Aさんは呆気に取られながらも、本当にいいの?…と言った顔でそれを受け取り食べたそうだ。

成田に到着してから、Aさんは手荷物を改めて確認したが、入れたはずのクッキーはなく、トランクの中からクッキー11袋が見つかったという。あの屈強そうな外国人は冤罪だった。

むしろ、Aさんは「突如、他人のクッキーを無言で食べ始めたアジア人」として強烈な印象を残した事だろう。

その日のことをAさんは「恥ずかしかったな〜。あのおじさん(屈強な外国人)が良い人だったから良かったけど…」と、体をくねらせながら喋っていた…。

…そんな感じで、立派な大人を狂わせる程に美味いクッキーがこの空港の何処かで売っているらしいのだが、ゴダイバの店員さん、知ってます??と訊いてみた。

すると、他の店員もワラワラと集まり始め、謎のクッキーについて英語で喋り始めたが、一様に「知らない」的な反応が返ってきた。

アジア系の店員さんは「そんなに美味しいんなら、すっごく気になる!どこなのか分からないけど、探し出して見せるわ!!教えてくれてありがとう!!!」と、これまた強めに回答してくれた。

手を振って分かれた後も、クッキーの話をしているのが聞こえて来たので、あのアジア系の店員さんは確実にモヤモヤとしている事だろう…。

本当は良い人だったんじゃないの?

Aさんとはその後会うことが無かったので、謎のクッキーの正体は今も分からない。

社会人留学の経験がある夫にその話をした時、そのアジア系の店員さん、フツーに良い人じゃない?って話になった。

いつもニコニコとしているのが当たり前な日本と違い、海外では仏頂面で適当に接客をしている人の方が多いのに、ボロい格好の日本人に対して、キチンと日本語で対応して、発音まで教えてくれたんだから悪い人じゃないよね、と。

そうなると、モヤモヤする話だけを置いて来た私は何だったのか。夫は「勝手に勘違いして、モヤモヤだけを置いて行って、確実に変なヤツだよね〜」と笑っていたのでムッとしたが、こうしてブログに書いてみると、あの当時の私は確実に変なヤツだった。

ラフな格好で乗り込んでおきながら「高級菓子の店だから丁寧な接客がある」と思い込み、期待通りでないと勝手に怒る、世間知らずで幼い人間は私だった。

まんじゅうこわい(違う)

ひろみんさんのブログに出てきたお子様もそうだが、高級菓子には人をここまで狂わせる何かがあるのだろう。恐ろしいものである。

オチ?そんなもの、この話にはない。ただのババアの思い出話である。